1. 導入:冷却水の色は、なぜ青や赤、緑があるのか?
「車のボンネットを開けたら、冷却水が緑色だった。でも、カー用品店には赤い冷却水も並んでる…」
「見た目が違うってことは、成分も違うはずだよね?でも、よく見たら同じ成分だった…これ、混ぜても大丈夫なのかな?」
冷却水(クーラント)を選ぶとき、誰もが一度はこんな疑問を抱いたことがあるのではないでしょうか?正直、色や種類の違いが分かりにくくて、補充するにも何を選べばいいか迷ってしまいますよね。
この記事では、そんなあなたの疑問をすべて解決します。冷却水の色が持つ意味から、交換のタイミング、そして補充する際の注意点まで、あなたの愛車をオーバーヒートから守るための知識を徹底的に解説します。
2. 冷却水の色は「凍結防止成分」と「防錆剤」を示すサイン
結論から言うと、冷却水の色は、成分の違いを判別するための「識別子」です。冷却水の主成分は、主に以下の2つです。
- エチレングリコール: 冷却水の大半を占める成分で、これが凍結を防ぐ役割を担います。
- 防錆剤(腐食防止剤): エンジン内部の金属が錆びるのを防ぎます。
多くの冷却水は、この2つの成分をベースに作られていますが、配合されている防錆剤の種類によって、冷却水の「性能」や「寿命」が変わります。そして、その違いを分かりやすくするために、メーカーが色を分けているのです。
色と種類の関係
- 赤・緑色の冷却水:
- 以前は主流だったタイプで、主にリン酸系の防錆剤が使用されています。
- 耐久性は2年、または4万km程度が一般的です。
- 青・ピンク・黄色などの冷却水:
- 最近の車に採用されている、耐久性の高い”LLC(ロングライフクーラント)”や”S-LLC(スーパーロングライフクーラント)”です。
- ノンアミン系の防錆剤を使用しており、耐久性は7~10年、または16万kmまでと非常に長いです。
3. “混ぜてはいけない”理由と「全量交換」の重要性
「じゃあ、同じメーカーなら色を混ぜても大丈夫?」
答えは「混ぜない方がいい」です。
- なぜ?: 異なる種類の防錆剤を混ぜると、化学反応を起こしてゲル状に固まったり、防錆性能が著しく低下したりする可能性があります。これにより、エンジン内部が錆びたり、冷却経路が詰まったりするリスクが高まります。
- 補充のルール:
- 基本的に、既存の冷却水と同じ色のものを補充しましょう。
- どうしても種類が分からない場合は、補充用の「ユニバーサルタイプ」を使用するか、専門の業者に相談するのが安全です。
補充よりも「全量交換」を検討すべき理由
冷却水が減っているということは、単に蒸発しただけでなく、劣化している可能性が高いです。
- 性能低下: 冷却水は、時間とともに防錆剤の性能が落ちてきます。劣化した冷却水を使い続けると、エンジン内部が錆びて冷却効率が落ち、オーバーヒートのリスクが高まります。
- 劣化具合の確認方法:
- 冷却水の色が茶色や黒に変色している場合は、劣化が進んでいます。
- 異物が浮いていたり、油が混じっていたりする場合は、エンジンの重大なトラブルの兆候かもしれません。
- こうした場合は、補充ではなく、全量交換を強くおすすめします。
4. 冷却水はどれくらいの頻度で交換する?
冷却水の交換頻度は、種類によって大きく異なります。
- 緑・赤の冷却水(LLC):
- 2年または4万kmごとの交換が推奨されています。
- 青・ピンクの冷却水(S-LLC):
- 7~10年または16万kmごとの交換が推奨されています。
最近の車は、S-LLCが主流です。しかし、走行距離が少なくても、時間とともに劣化は進むため、取扱説明書に記載された交換サイクルを必ず守りましょう。
5. 冷却水はどのくらい入ってる?標準的な車両の液量
冷却水の量は、車種によって大きく異なります。
- 軽自動車: 約3~4リットル
- 普通車(1.5L~2.0Lクラス): 約5~7リットル
- SUVやミニバン: 約7~10リットル
これらの量は、あくまで目安です。正確な量は車の取扱説明書で確認しましょう。
6. まとめ:賢く選んで、愛車を守ろう
冷却水は、エンジンの命綱とも言える重要な液体です。
- 色と成分: 冷却水の色は、含まれる防錆剤の違いを示す識別子。異なる色のものを安易に混ぜないようにしましょう。
- 補充より交換: 頻繁に量が減ったり、色が変色したりしている場合は、補充ではなく”全量交換”を検討しましょう。
- 交換サイクル: 冷却水の種類(LLCかS-LLCか)によって交換頻度が異なります。取扱説明書を確認し、定期的な交換を怠らないようにしましょう。
これらのポイントを押さえるだけで、あなたは愛車をオーバーヒートの危機から守り、安全なカーライフを送ることができます。
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