エンジンオイルの“規格”って何?|API・ILSAC・ACEAの違いをやさしく解説

✅この記事でわかること

  • 規格ってそもそも何のためにあるの?
  • API・ILSAC・ACEA、それぞれの役割と違い
  • SPやGF-6、A5/B5などの記号の意味
  • 日本車・欧州車で違う「見るべきポイント」
  • おすすめの規格と、選び方のコツ
  • 「規格を無視したオイル選び」のリスク

🧪まずは「規格」の意味から

「規格」とは、**オイルの性能や品質、安全性を保証するための“国際的な基準”**のこと。
エンジン内部の摩耗・スラッジ・酸化・燃費…あらゆる項目を厳しくテストして合格したオイルにだけ与えられます。

例えるなら――
🛠「JISマーク」や「有機JASマーク」と同じような“品質の証明書”!


🌍主な3つの国際規格

①【API規格】…米国石油協会(American Petroleum Institute)

  • 対象国・地域:主に北米、日本
  • 表記例:SN、SP、SL、SM など
  • 位置づけもっとも基本的で広く使われる規格

🔍API規格の意味

記号意味
S〜Spark(ガソリン車)向け
C〜Compression(ディーゼル車)向け

📘ガソリン車向けグレード一覧(古い順)

グレード導入年特徴
SG1989年古い設計向け
SH1994年洗浄性強化
SJ1996年酸化安定性向上
SL2001年省燃費・耐久
SM2004年ターボ対応も強化
SN2010年省燃費・耐摩耗に優れる
SP2020年〜最新グレード。LSPI(異常燃焼)対策あり

②【ILSAC規格】…日米自動車メーカー協会共同規格

  • 対象国:主に日本・アメリカのガソリン車
  • 表記例:GF-4、GF-5、GF-6A/6B など
  • 特徴:API基準+“燃費性能”や“触媒保護”を追加した省燃費志向の規格

🔍ILSACの主なグレード

グレード年代特徴
GF-42004年API SM相当、省燃費性能向上
GF-52010年SN相当+エンジン清浄性UP
GF-6A2020年SP相当、全車対応
GF-6B2020年SP相当、0W-16専用(超低粘度)

✅日本車に使うなら「SP・GF-6A」が現時点で最適!


③【ACEA規格】…欧州自動車工業会(Association des Constructeurs Européens d’Automobiles)

  • 対象国:欧州車(BMW・VW・プジョー等)に必須
  • 表記例:A3/B4、C3、A5/B5など
  • 特徴:APIより厳しい耐久試験・排ガス性能規定を含む

🔍ACEA分類(ガソリン&ディーゼル用)

表記用途特徴
A1/B1省燃費軽負荷・一部の小型車
A3/B4高性能高速走行・高負荷対応
A5/B5省燃費+高性能最新ガソリン&軽ディーゼル車
C1〜C5DPF対応低灰分オイル(欧州ディーゼル必須)

🧭「どの規格を見ればいい?」早見ガイド

車種タイプ規格の見方おすすめ
日本の普通車・軽API+ILSACSP・GF-6A
ハイブリッド(超低粘度)API+ILSACSP・GF-6B(0W-16専用)
欧州車(VW・BMW)ACEA+APIC3、A3/B4、A5/B5など
ディーゼル(国産・欧州)API C〜 / ACEA C〜CJ-4、C2〜C4規格

📘車検証 or 取扱説明書で「推奨規格」を必ず確認しよう!


⚠️規格を無視すると何が起きる?

リスク具体的な症状
粘度は合ってるが規格が古いオイル劣化が早くなる/排ガス性能低下
欧州車にILSACだけのオイルを使用DPF(ディーゼルフィルター)詰まり/触媒故障
ターボ車にSN以下を使うLSPI(異常燃焼)でエンジン損傷

🛠よくある表記の読み解き方【実例】

「0W-20 SP GF-6A」

  • 0W-20:粘度(低温に強く燃費重視)
  • SP:API最新グレード(LSPI対策あり)
  • GF-6A:ILSAC省燃費対応(日本車に適合)

🧠まとめ|“規格を見る”は安全運転と同じくらい大事!

エンジンオイルを選ぶとき、粘度だけ見ていては不十分です。
「どんな走り方」「どんな国」「どんな排ガス装置」に合わせた性能保証があるか――
それが規格です。

Kazuro Garageとしては、こんな選び方を推奨します:

✅日本車:SP・GF-6A(0W-20など)
✅超低粘度車:SP・GF-6B(0W-16)
✅欧州車:ACEA C3 or A5/B5+API SN/SP

整備に慣れてきたら、あえて「ワンランク上」の規格を選ぶのも◎!


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